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「日本人は手先が器用だ。」
かつて良く聞かれた言葉ですね。でも、器用さなんて誰も最初から持っている才能ではないと思うんです。

仕事ができるかできないかは、1に精神、2に技術。
いつも少しでもいいものを作ろうっていう、精神がいつのまにかその人を器用にするんですよ。

当社の財布職人福本清。
何を作るにしても、日本の職人は、少しでもいいものを作りたいという気持ちを持っています。
そんな職人があちこちにいた時代だからこそ「日本人は手先が器用だ。」という言葉が聞かれたのでしょう。

財布作りは本来全て手作業でした。今ではコスト重視で、国内海外問わずほとんどが工場でのライン生産です。
そんな時代でも財布屋は手作業にこだわります。
手作業でしか出来ない処理、ここが財布では最も重要で、ここの処理が悪いと、財布はすぐに縫い目からほころび始めます。

その一つに財布のコーナーの返し部分。刻み(きざみ)と言われる財布独特の工程があります。
財布職人の良し悪しはこの刻みではかられます。
財布屋のベテラン職人福本氏は、驚きの速さで綺麗な扇状に革を折り込んでいきます。これが出来る職人は今は大変少なくなってしまいました。

福本氏がいつも言うのに、
「財布職人には定年が無い、ええもん作られへんようになったら引退や!」

財布の角(かど)の部分を綺麗に処理する「刻み」といわれる作業や「いせこみ」といわれる、外革と内生地を貼り合わせる際に、自然なカーブでしわが出来ないようにする作業は、ベテラン職人だけがなせる業であり、完成された商品を作るまでには相当の年月と努力が必要となります。

一昔前であると、こういう地味な財布職人という職は敬遠ぎみで財布屋店主も後継者作りに少々頭を悩ませていましたが、昨今の手に職という風潮で、若い方の志願者が徐々に増えています。

又、財布屋の昔スタイルの財布職人の取り組み方を耳にして、同業他社を飛び出し、財布職人を極めたいと財布屋の門を開いた人もいます。
そんな中、「お前らが俺よりええもん作れるようになったら、いつもで引退したる」とはっぱをかけながら作業をすすめています。

余談ですが、先日この財布職人を紹介するページを作ることが決定し、スタッフで話し合って、撮影時に職人に着てもらう作務衣をわざわざ用意したんですね。

朝、福本に作務衣を渡すと、「そん綺麗なもん着とったら仕事にならん!」と一蹴されてしまいました。
もったいないので、店主自ら着ております・・・。
嫁と福本にはめっぽう弱い店主であります。

毎朝、職人が出勤してきたら、まず、全員にお茶を入れるのも店主の大事な仕事。でもそのタイミングが問題なんです。

財布職人は出勤して着替え、5分後には作業に入っていますので、お茶を出すのが遅いと、手を付けずに1日中放置されます。

「職人に休憩はいらん! 一旦仕事始めたら、コン詰めて仕事せなアカン」
昼食時とトイレ以外は席も立たず、もくもくと作業を続けます。

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